いくつかある介護保険法の違反事例の1つは、介護報酬の不正請求である。
たとえば、介護施設が介護給付費請求をする時に、実際よりも多くのサービスを提供したと虚偽の記載をして介護報酬を多く受領するといった場合だ。
介護請求の不正請求をすると、介護保険法に基づき介護事業の指定あるいは許可が取り消される。
また、処分の内容も公表される。
平成27年度に介護保険法違反により行政処分を受けた介護サービス事業所は106ヶ所あり、最も多かったのが不正請求で全体の32.3%を占めていた。
不正請求は経営陣が中心になって行うことが多いため、定期的に外部監査を依頼するなどして防ぐことが必要である。
法律に違反している別の事例は基準違反である。
サービス計画書の不備、無資格者をサービス提供責任者にしていることなどだ。
平成27年度には、運営基準違反と人員基準違反が合わせて138件発覚した。
介護保険法に違反する別の事例は、人格尊重義務違反で、施設の職員が入居者に対して虐待を行うケースである。
平成27年度には、身体拘束、殴る、暴言などの身体的・心理的虐待が14件、入居者の金銭などを盗むという経済的虐待が3件あった。
介護保険法の69条の34第1項にある通り、介護施設の職員は入居者の人格を尊重し、介護を行わなければならない。
人格尊重義務違反と判断された職員は登録を削除され、事業所に対しては指定あるいは許可の取り消しが行われることもあり、こちらもまた処分の内容が公表されることになる。